女性の一生と漢方薬

医師であり、東洋鍼灸専門学校の元校長先生であった石野信安先生が書かれた「女性の一生と漢方」という本があります。
その本のはじめに書いてあるのですが、先生が医者として進む科目を決める際、恩師から産婦人科を勧められたこと、その理由として「一家の大黒柱は主婦であり、その健康が何よりも大事であること」を伝えられたそうです。
昨今、共働き家庭が増え、主婦の方は減少傾向かと思いますが、女性の健康が家庭にとって大事なのは大きく変わりのないことだと感じます。

「女性がいつまでも若々しく艶のある素膚を保ちたいと思い、心身共に健やかな子供を授かりたいと願うのは誰でも同じでありましょう。この願いをかなえてくれるのが、数千年の歴史を持ち、豊富な経験医学として伝えられてきた漢方医学なのです」(「女性の一生と漢方」より)

生理に関わるお悩み

生理痛や生理不順、PMS、不正出血、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、生理に関わるお悩みは数多く存在します。
石野先生の「女性の一生と漢方」のはじめに、「女性の一生には一つのリズムがあります。その年齢の節々をうまく過ごすことがとても大切なことなのです。妊娠・出産を切りぬけるには、それ以前の思春期・婚前の体作りが重要です。」とあります。
順調な生理には痛みは伴わないと漢方では考えます。
漢方薬には、そんな生理を目指す知恵があると思っています。
漢方では、血の不足、血の滞り、血の巡り、エネルギー不足、その滞り、無駄な水分、水の毒、体の潤いの不足、そうしたことが各種の症状、疾患を引き起こしていると考えます。
人によって症状によって、それぞれ異なります。
是非、ご相談ください。

更年期に関わるお悩み

漢方薬の世界には血の道症という言葉があります。
女性の生理にまつわる疾患の総称なんですが、更年期障害の諸症状というものはまさにこの中に入ります。特に、生理によって定期的に体外に排出されていた瘀血(悪い血)が生理の回数が減る、生理が止まる、出血の量が減ることによって体内に滞る。それによる血の巡りの悪さの問題、冷えの問題、年齢的な衰えなどが相まってホットフラッシュをはじめ、多くの不定愁訴を引き起こすと考えます。
更年期の諸症状には、加味逍遙散(かみしょうようさん)という漢方薬が有名です。命の母の中にも加味逍遙散は含まれています。(命の母には、あと当帰芍薬散が入ってます)加味逍遙散の逍遥とは「のんびり散歩する」という意味だそうです。加味逍遙散は血の滞りを取って血の巡りを良くし、体に溜まった悪い熱(のぼせ)を発散させて、そんな気分(逍遥)を目指しているようです。加味逍遙散以外にも、更年期の症状、体質に合った漢方薬がございます。是非、ご相談ください。

骨粗鬆症(骨粗しょう症)

女性は、閉経後のホルモンバランスの変化に伴い、どうしてもカルシウム不足となり、骨粗しょう症になる方が多く見受けられます。見過ごすと、年を取ってから、ちょっとしたことで、ろっ骨や大腿骨を折ったり、背骨を圧迫骨折したりして、大幅にQOLが下がる原因に。日頃から、カルシウムをしっかり吸収できるようお腹をいたわることが重要だと感じます。
また、良質なカルシウムの摂取も欠かせません。良質とは、原材料もそうかもしれませんが、何より吸収のしやすさが重要です。お医者様から骨粗しょう症と言われたら、検査で年齢と比して骨密度が低いことが分かったら、75歳を過ぎたら、指一本でも楽な生活を長く続けるために、是非、ご相談ください。

関節痛

漢方の世界では、曲げられるが伸ばせないのは筋(肝)に病があり、伸ばせるが曲げられないのは骨(腎)に病があると言われています。一般的には、疲れると関節を曲げるのがしんどくなりますが疲れは漢方で言う五臓六腑の「肝」とかかわりが深い。年を取ると腰や膝が曲がったまんまで伸ばせなくなりがちですが、年齢と「腎」とはつながりが深い。「肝」の病、「腎」の病、何か逆なような気もします。
実際には、関節痛の漢方薬、血の巡り、血の滞り、冷え、悪い水の余りなどが原因で、気血水が通じなくなり、滞ったところに痛みが出ると考え、その原因を排除する漢方薬の中から、症状、体質に合ったもの検討します。

冷え症

四逆(しぎゃく)という言葉があります。お腹が冷えたり、内臓が冷えたり、経絡が冷えたりして、手足が冷え切り、顔がほてるような症状を言います。
このような症状に合わせて、漢方薬では、四逆散、四逆湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯と四逆という文字の入った処方が存在します。どれも冷え症に関わりますが原因によって使い分けます。
冷え症の原因は、貧血、血の滞り、気の滞り、疲れなど様々。それぞれ、もしくはいくつか組合わされた原因に合わせてお薬をご提案しています。
気血の不足に婦宝当帰膠、歩くめまいの真武湯、片頭痛があれば呉茱萸湯、冷えのお腹に安中散、しもやけ、当帰四逆加呉茱萸生姜湯などなど。ご相談ください。

膀胱炎、腎盂腎炎

漢方講座に毎年のようにご参加頂いている年配のご婦人のお話です。
その方は、少し以前、膀胱炎を漢方薬で治した経験がおありで、「是非、ご参加の皆さんに漢方薬の神効をお伝えしたい」とのこと。なかなか、効果がなく、何件かのクリニックをはしご、漢方薬を出していただけるお医者さんに巡り合ったとのこと。そこで出された猪苓湯(ちょれいとう)と四物湯(しもつとう)に著効があったとのこと。熱弁をふるいます。こちらとしては大変ありがたいのですが、まるでどなたにでも効くようなお話しぶり。「いえいえ。どなたにでも必ず効くというものではなく、その方の症状の違い体質の違いでお薬も変わります」と申し上げるとご不満なご様子。
でも、実際のところ、膀胱炎のお薬は何種類もあり、症状の違い、体力、体質に合わせて、そこから選んでお勧めしています。

片頭痛(偏頭痛)

ずきんずきんする、頭が割れるように痛い、吐き気がしたり吐いたりする。家でのんびりしていたりするときに突如訪れる、直前に、目の中で火花が花火がぱちぱちしたような閃輝暗点がある。そんな片頭痛でお悩みの方が多くいらっしゃいます。漢方薬には呉茱萸湯という片頭痛のお薬があります。
また、漢方では、片頭痛について考えるとき、冷えとお腹の状態は不可分であります。それらを考慮に入れながら、症状、体質に合わせて漢方薬をご提案しております。

円形脱毛症

「髪は血の余りである」と漢方の世界では言います。円形脱毛症で十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)というお薬が使われますが、なるほど、十全大補湯は血の不足(けっきょ)のお薬(あとエネルギーの不足(気虚))です。
円形脱毛症、それ以外にもストレスと関わりがあります。ストレスでエネルギーが滞り(気滞)それが血の巡りを妨げ、そして脱毛に至る。そんなところでしょうか。
いずれにせよ、原因も考慮に入れて、漢方薬をお選びしています。

お肌のトラブル

漢方ではお肌の状態は肺・大腸と関係が深いと考えます。なるほど、便秘になると肌荒れがしますし、風邪、特にインフルエンザやコロナなど(漢方では風邪は肺の病)になると、肌が過敏になったり、蕁麻疹が出たりします。
それだけでなく、肌の状態と肌の保水能力との関係は重要であり、内側からの潤い不足(血虚や血の滞りによる)がお肌のトラブルの原因と考えてきた漢方薬には、トラブルを解決する方策があります。
是非、ご相談ください。

東京都北区東十条の井上漢方薬局問合せご予約0339114577