漢方薬を自分で選ぶ

[講座でお話ししているものの一部です]

漢方薬の名前


漢方薬というのが、いくつかの生薬(薬効成分のある植物の根、葉っぱ、花、実他、鉱物、化石、動物生薬などあり)の組合せ、いわば処方名であるということをご存じでしょうか?
例えば、桂枝湯は、
 桂枝(大体シナモン)
 甘草(人工甘味料やらお醤油の甘味担当やら)
 生姜(まんまショウガ、ショウキョウと読みます)
 大棗(ナツメの実)
 芍薬(「立てば芍薬」の、あのきれいな芍薬の根)
の5つの生薬を組み合わせた「桂枝湯」という処方名になります。

その他にも、葛根湯やら麻黄湯、小柴胡湯に六君子湯、当帰芍薬散、加味逍遙散に七物降下湯、苓桂朮甘湯と苓甘姜味辛夏仁湯。
漢方薬をやらない方も、どこかでこの中の一つ二つはお耳にされたこともあるのではないでしょうか?
漢方薬というと、なんだか名前が難しい、お経みたいでとっつきにくい。なんてこと、よく耳にします。でも実は、漢方薬の名前、名は体を表すだったり、名が設計図になっていたりと、結構、ロジカルなんです。

桂枝湯、葛根湯、麻黄湯、当帰芍薬散、小柴胡湯は構成生薬の代表者の名前をとっています。つまり、桂枝湯の場合、桂枝が代表です。因みに小柴胡湯の場合、小柴胡ではなく、柴胡が代表で、小というのはあだ名的な、形容詞的な感じで先頭につけられています。小スキピオと大スキピオのようですね。人ではないのですが。。
だから、大柴胡湯というのもあります。
大小がつくのには有名なところで、大建中湯、小建中湯というのもあります。

六君子湯、七物降下湯の六とか七というのは、構成生薬の数を示しています。
また、七物降下湯の降下、大建中湯、小建中湯の建中というのは効能を表しています。

さらに、苓桂朮甘湯や苓甘姜味辛夏仁湯はそのまま設計図となっています。
苓桂朮甘湯は、茯苓・桂枝・白朮・甘草からできているので、茯苓の「苓」、桂枝の「桂」、白朮の「朮」、甘草の「甘」をとって、苓桂朮甘湯、苓甘姜味辛夏仁湯は、茯「苓」・「甘」草・乾「姜」・五「味」子・細「辛」・半「夏」・杏「仁」からできているので、茯苓の苓、甘草の甘、乾姜の姜、五味子の味、細辛の辛、半夏の夏、杏仁の仁をとって、苓甘姜味辛夏仁湯となっています。

漢方薬の基本構造


漢方薬を構成する数種の生薬。経験だけを頼りに数ある生薬の中から、ランダムに組み合わされたものかというと、そんなことはありません。その多くが、いくつかの基本的な処方に数種の生薬を組み合わせたものです。
つまり、基本の処方を覚えると、格段に漢方薬を選びやすくなります。

小半夏加茯苓湯 → +陳皮、甘草 = 二陳湯
小半夏加茯苓湯 → +厚朴、蘇葉 = 半夏厚朴湯
二陳湯 → +四君子湯 = 六君子湯     
四物湯 → +黄連解毒湯 = 温清飲
四物湯 → +艾葉、阿膠 = 芎帰膠艾湯
四物湯 → +四君子湯+桂枝+黄耆 = 十全大補湯 
小柴胡湯 → +黄連-柴胡 = 半夏瀉心湯
小柴胡湯 → +竜骨、牡蛎 = 柴胡加竜骨牡蠣湯
小柴胡湯 → +五苓散 = 柴苓湯
小柴胡湯 → +半夏厚朴湯 = 柴朴湯
桂枝湯 → +葛根、麻黄 = 葛根湯
桂枝湯 → +芍薬(増量)= 桂枝加芍薬湯
桂枝湯 → +芍薬(増量)+膠飴 = 小建中湯
桂枝湯 → +小柴胡湯 = 柴胡桂枝湯

それぞれ、基本となっている漢方薬の構成と性能を知れば、漢方薬選びがより正確になっていきます。

セルフメディケーション!
自分で選ぼう漢方薬


井上漢方薬局の講座では、とまあ、こんな話を少しずつ、時間をかけてなるたけわかりやすく実り多くなるようお話を進めております。

漢方薬は、天然の生薬で構成されています。よく言われることですが、お医者様のお薬に比べると副作用の心配が少ない。また、不定愁訴、自律神経、免疫などに絡んだ症状に対しての答えがある。その意味で、セルフメディケーションであったり、結構維持であったり、つまり、指一本でも「楽」に生活する助けとなるものだと思っております。「ご自分の漢方薬、ご家族の漢方薬を、全ての方が自ら選べるように」と願っております。

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